パワハラ防止法によって、ハラスメント相談窓口の設置が義務付けられています。相談窓口には、社内(内部)相談窓口、社外(外部)相談窓口、公的相談窓口、などがありますが、社員が公的相談窓口に相談に行く前に、社内&社外の相談窓口を両輪のようにうまく機能させ、ハラスメントを芽のうちに対応して防止したいものです。
令和2年度の厚生労働省の実態調査によると、「相談窓口の設置と周知」については約8割の企業が「実施済み」と答えていますが、「相談窓口担当者による適切な対応」については約4割の企業しか「実施済み」と答えていません。多くの会社が対応の仕方にはまだまだ課題を感じているようです。
ここでは、社内相談窓口の対応の留意点について触れます。
① 広く相談を受け付けること
パワハラ防止法では、「パワハラの定義」として「① 優越的な関係を背景とした⾔動であって、② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③ 労働者の就業環境が害されるもの、であり、①から③までの3つの要素を全て満たすもの」と明示されましたが、相談窓口では、いわゆる“パワハラ”の定義に該当しないようなものでも広く相談を受け付ける)ことが大事であるとされています。
また、ハラスメント相談はその種類(パワハラ、セクハラ、マタハラ・パタハラ、カスハラ、など)を限定せず一元的に受け付けることが努力義務とされています。
② 相談を受付ける時(ファーストコンタクト)
最初に相談を受け付ける方法は、電話、メール、メールフォーム、ライン、チャット、など様々な方法があります。できるだけ多様な方法を用意しておいたほうが、相談者にとっては相談しやすいですが、会社の体制や準備も考慮して、現実的な方法を決めましょう。
電話や対面の場合は、相談者のプライバシーが守られるように、十分配慮する必要があります。広いフロアで他の人の会話が入ってくるような場所で相談を受けることは避けましょう。実際に詳しくヒアリング行う時には、社内が狭い場合などは、会社以外の場所がいい時もありますが、カフェなどは不向きなので、会社としてレンタル会議室などを用意するのもいいでしょう。
相談者が感情的になっていたり、攻撃的だったりするような場合も、自分の立場(相談窓口の受付)をはっきりと伝え、「改めて詳しく内容をお聞きする時間と場所を決めたい」と伝えましょう。危険が迫っているようならすぐ対応しましょう。
いずれにしても、相談者は、相当な勇気をもって相談窓口にファーストコンタクトしてくるので、十分に配慮し、話しやすい環境を作ってあげましょう。
③ 相談を受ける前、受ける時、受けた後
相談を受ける前:
はじめの言葉がけ(自己紹介、ねぎらい、誠意の表明、など)をしっかりしましょう。相談者が安心します。
そして、必ず守秘義務と不利益取り扱い禁止についての説明をします。
相談を受ける時:
相談員はその相談者にとって適しているかを確認。相談員はできれば2人(男女や、役職別など)で話しを聞くほうがよいでしょう。
相談内容を聞くときは、まずは相談者の話しを受容と共感で傾聴し、ハラスメントかどうかの判定はせず、先入観を持たずに聞き、その上で、事実確認のため必要に応じて5W1H+R(要望)に沿って質問します。その際「答えたくない」と言った場合は無理強いしないようにしましょう。
「あなたも悪いのでは?」と相談者を責めたり、「それはパワハラです(ではない)」などとハラスメントかどうかを断定するような言い方はNGです。
相談者の話しを聞きながら、しっかりメモを取ることも大事です。あらかじめフォーマットを作っておくとよいでしょう。
相談員にとっても相談者にとっても、「時間」や「場所」といった枠を決めることは心理的安全性を高め、効率も上がります。2回目以降の面談が必要になった時はできるだけ同じ場所にしましょう。
相談を受けた後:
メモを整理して記録に残します(記録の管理は厳重に)。
初動は迅速を心がけましょう。相談者の承諾があった時は、ハラスメント防止委員会に報告して協議してもらい、次のステップを決め、行為者や目撃者のヒアリングなどを行います。
相談者のメンタルが心配な時は、メンタルヘルスケアの担当者につなぎましょう(健康管理室、産業医、社内・社外カウンセラー、EAPサービス、など)。
行為者へのヒアリングなど、その後のプロセスを、節目節目で、相談者に報告しましょう。
相談者に、その後は大丈夫か確認する(配慮)ことも大切です。
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