パワハラ防止法によって、ハラスメント相談窓口の設置が義務付けられています。相談窓口には、社内(内部)相談窓口、社外(外部)相談窓口、公的相談窓口、などがありますが、社員が公的相談窓口に相談に行く前に、社内&社外の相談窓口を両輪のようにうまく機能させ、ハラスメントを芽のうちに対応して防止したいものです。
ここでは、社内相談窓口の相談員の養成について触れます。
社内相談窓口として、メールアドレスや電話番号(内線番号)を用意するだけの会社もありますが、相談窓口の担当者が誰であるかをしっかり決めて周知したほうが相談者にとっては安心です。また、相談窓口の担当者が相談員を兼ねる場合もありますが、相談員は別にいて、担当者が相談の日時などを調整する場合もあります。どちらにしても、相談員がしっかりと相談を受けることができるようなスキルを身につけておくことは非常に重要です。相談員の養成研修を行い、マニュアルを作成しておくとよいでしょう。
①社内相談窓口の相談員を決める
相談員は、できるだけ男女一人ずつは定めておくと、セクハラの場合にも対応しやすいです。その他、相談者や行為者に近すぎる立場の人も相談員として不向きなので、部署別、役職別、年齢別、など多様な相談員を定めておいたほうがいいです。
相談員はずっと固定するのではなく、できるだけ多くの職員が相談員を経験してもらうといいでしょう。
②相談員のふさわしい態度
相談員は、公平、誠実、丁寧、思い込みがない、偏見がない、個人としてでなく会社として、自分の話しをしない、といった態度が必要です。
相談を受けるときは、まずはしっかりと自己紹介をして役割を伝え、「守秘義務」と「不利益取り扱い禁止」について説明しましょう。また、希望があった時には、しっかりとその後の対応(行為者や目撃者へのヒアリング、ハラスメント防止委員会への報告、再発防止、など)をすすめていくことも伝えましょう。
③相談員に必要なスキル
相談員には以下のようなスキルが必要です。
・傾聴:先入観を持たずにまずはしっかりと聴く。あいづち、うなずき、を入れながら、必要な場面ではくりかえしや要約などをします。
※話の途中で、相談員が意見を言ったり、アドバイスしたりするのはNGです。ましてや、「それはハラスメントではない・ハラスメントだ」と断定することもNGです。
・質問力:ひととおり傾聴した後、5W1Hの欠けているところを質問して、全体の状況を明らかにする。
※質問は相手を傷つけることありますので、十分気を付けましょう。意見や自分視点の見解を前置きとして言ったり、「なぜ〇〇しなかったのか?」というような批判的なニュアンスの質問の仕方は避けましょう。
・調整力:迅速に対応してハラスメントを防止するためには、相談者の話しを傾聴して状況を聞き取るだけではなく、行為者や目撃者へのヒアリングを了承してもらってすすめたり、上司らとの話し合いを希望する場合は場をセッティングしたり、メンタル不調の心配があるときには健康管理室やメンタルヘルスカウンセラーにつないだり、さまざまな調整が必要な場合もあります。会社の規模にもよりますが、相談員1人で判断するのでなく、相談窓口担当者、相談窓口責任者、ハラスメント防止対策担当者、ハラスメント防止委員会のメンバーら、などとチーム内守秘義務の中で情報を共有しながらすすめていくことが大切です。また、プロセスの途中で、相談者に連絡を入れ、「自分の知らないところで何が行われているのだろう?」と不安にさせないようにしましょう。
④ 相談員の養成
相談員は少なくとも
・ハラスメント関連法案
・ハラスメントが起こるしくみ
・社内のハラスメント防止のシステム
・対応の留意点
・傾聴と質問のスキル
を学ぶ機会を作り、定期的にアップデートするようにしましょう。
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