ハラスメントに関する法律は、それぞれ以下のような法律によって法規制がなされています。
・パワハラ:労働施策総合推進法
・セクハラ:男女雇用機会均等法
・マタハラ・パタハラ:男女雇用機会均等法、育児・介護休業法
・カスハラ:労働安全衛生法、労働施策総合推進法
ここではカスハラについて。
【カスハラに関する法律】
カスタマーハラスメントとは、顧客等からの暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為のことです。カスハラについては、労働安全衛生法の「安全配慮義務」によって、企業はいわゆるカスハラ防止の措置が義務付けられてきたと考えられます。そして、2020年1月の労働施策総合推進法の改正を踏まえ、「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」が策定され、顧客等からの暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為(カスハラ)に関して、事業主は、相談に応じ、適切に対応するための体制の整備や被害者への配慮の取組を行うことが望ましい旨、また、被害を防止するための取組を行うことが有効である旨が定められました。
カスハラの定義は
「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの。」
とした上で
以下のカスハラ防止措置が努力義務となっています。
① 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
② 被害者への配慮のための取組(被害者のメンタルヘルス不調への相談対応、著しい迷惑行為を行った者に対する対応が必要な場合に一人で対応させない等の取組)
③ 他の事業主が雇用する労働者等からのパワーハラスメントや顧客等からの著しい迷惑行為による被害を防止するための取組(マニュアルの作成や研修の実施等、業種・業態等の状況に応じた取組)
※ハラスメント相談窓口では相談に応じつつ、同時に被害者のメンタルヘルス不調に対するケアをする必要があります。
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なお、2022年2月に作成された「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」によると、詳しい例として
■顧客等の要求の内容が妥当性を欠く場合」の例
・企業の提供する商品・サービスに瑕疵・過失が認められない場合
・要求の内容が、企業の提供する商品・サービスの内容とは関係がない場合
■「要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当な言動」の例
(要求内容の妥当性にかかわらず不相当とされる可能性が高いもの)
・身体的な攻撃(暴行、傷害)
・精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言)
・威圧的な言動
・土下座の要求
・継続的な(繰り返される)、執拗な(しつこい)言動
・拘束的な行動(不退去、居座り、監禁)
・差別的な言動
・性的な言動
・従業員個人への攻撃、要求(要求内容の妥当性に照らして不相当とされる場合があるもの)
・商品交換の要求
・金銭補償の要求
・謝罪の要求(土下座を除く)
が挙げられています。
参考:厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」